「静かにして!」と叱るたびに、余計に吠え声が大きくなる。
小型犬の吠え癖で悩んでいる飼い主さんなら、一度はぶつかる壁ですよね。
でも犬にとって「無駄な吠え」はひとつもありません。すべての吠えには理由があって、その理由を見分けることが対策の出発点になります。
そもそも「無駄吠え」は存在しない

「無駄吠え」という言葉はよく使われますが、犬の側からすると全部意味のある行動です。
怖いから吠える、嬉しくて吠える、何かを伝えたくて吠える。
どれも犬なりの「言葉」として発しています。
人間が「うるさいな」と感じる吠えも、犬は真剣に何かを訴えているケースがほとんど。
だから「やめさせる」ことだけを目標にすると、うまくいきません。
ちくわくぅん……聞いてほしいだけなのに……
まずは「なぜ吠えているのか」を観察するところから始めてみてください。
原因がわかれば、対処の方向も変わってきます。
吠え方で原因を見分ける3つのチェックポイント


吠えの原因は大きく4つに分けられます。
要求・警戒・興奮・不安です。
愛犬がどのタイプなのか、3つのポイントでチェックしてみましょう。
チェック1:いつ吠えるか(きっかけの特定)
吠えが始まるタイミングを振り返ってみましょう。
- ごはんの前や散歩の準備中 → 要求吠えの可能性が高い
- インターホンが鳴ったとき、窓の外に人が通ったとき → 警戒吠えかもしれません
- 散歩中に他の犬とすれ違ったとき → 興奮か警戒のどちらか
- 飼い主が出かける準備を始めたとき → 不安吠えの可能性があります
ちくわの場合、慣れた散歩道で他の犬に吠えるのに、慣れていない道では吠えません。
ポメラニアンはスピッツ系の犬種を小型化した歴史があり、縄張り意識が強い傾向があります。
「どの場所で吠えるか」も手がかりになります。
チェック2:どう吠えるか(声のトーンと長さ)
吠え方そのものにもヒントがあります。
| 吠え方 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 高い声で短く連続「キャンキャン!」 | 要求・興奮 |
| 低い声で力強く「ワンワン!」 | 警戒・威嚇 |
| 長く引き延ばす「ワオーン」 | 不安・寂しさ |
| 甲高く途切れなく続く | パニック・強い恐怖 |
もちろん個体差はありますが、声のトーンと長さである程度の傾向がつかめます。
チェック3:吠えた後どうなるか(行動が続く原因)
ここが見落としがちなポイントです。
たとえばインターホンが鳴って吠えたとき、配達員さんが立ち去りますよね。
犬からすると「吠えたら知らない人がいなくなった」という成功体験になっています。
要求吠えも同じで、吠えたらごはんがもらえた経験があると「吠える=願いが叶う」と学習してしまう。
吠えた結果どうなったかを振り返ると、なぜ吠え続けるのかが見えてきます。
タイプ別:小型犬の吠えを減らすコツ


原因がわかったら、タイプに合わせて取り組んでいきましょう。
要求吠え:「無視」だけでは足りない
「吠えたら無視する」はよく聞くアドバイスでしょう。
方向性は間違っていませんが、無視を始めた直後に「消去バースト」が起きることがあります。
消去バーストとは、それまで通用していた方法が急に通じなくなったとき、犬が一時的にもっと激しく吠える現象のこと。
ここで根負けしておやつをあげてしまうと「もっと激しく吠えれば通じる」と学習させてしまいます。
無視→激しく吠える→根負けしておやつ、は最悪のパターンです
コツは、吠えていないタイミングで先に褒めること。
静かに座っているときに「いい子だね」と声をかけたり、おやつをあげたりして「静かにしている=いいことがある」と伝えていきます。
警戒吠え(インターホン・来客・窓の外):環境調整と少しずつの慣らし
小型犬の飼い主さんがいちばん悩みやすいのが、この警戒吠えではないでしょうか。
インターホンが鳴るたびに全力で吠えて、来客中もずっと吠え続ける。
ご近所への気まずさもあって、ストレスが大きいタイプです。
犬は「知らない音や人が怖い・気になる」から吠えているので、その不安そのものに向き合う必要があります。


うちのちくわもインターホンで吠えるタイプでした。
1年ほど前から練習を始めて、来客の後などにわざとインターホンを鳴らしておやつをあげるようにしています。
今では吠えてもすぐに止まるようになりました。
インターホンの練習は「小さい音から少しずつ慣らす」のが基本です。スマホで録音した音を小さい音量から聞かせて、徐々に上げていく方法もあります
窓の外に反応する場合は、目隠しフィルムを貼ったり、犬のいる場所を窓から離したりする環境調整も試す価値があります。
興奮吠え(散歩中):吠えたら止まる、通り過ぎたら褒める
散歩中に他の犬を見つけて興奮して吠えるケースも多いです。
私たちもちくわの散歩中の吠えには苦労しています。
今やっているのは、リードを短く持って、吠えたらその場に座って待つ方法。
落ち着いたらまた歩き出して、吠えずに他の犬とすれ違えたらおやつをあげる。
地道な練習ですが、少しずつ吠えずに通り過ぎられる回数が増えてきました。
ご褒美のおやつは、小粒で低カロリーのものがトレーニングには向いています。
うちはボーロタイプの小粒おやつをポケットに入れて散歩しています。
吠えずに通り過ぎた直後にサッと出せるので重宝しています。
ペッツルート カルシウム入り 小粒ボーロ 64g 犬 おやつ
¥254〜
不安吠え(留守番・分離不安):環境と習慣で安心感を作る
飼い主が出かけた直後に吠え続けるタイプは、不安が原因の可能性が高いです。
小型犬は飼い主との距離が近い分、離れることへの不安を感じやすい傾向があります。
出かけるときに「いい子にしててね〜、すぐ帰るからね〜」って長々と声をかけると、逆に不安をあおるらしいよ
不安吠えへのポイントは、出かけるときの「儀式」をなくすこと。
大げさに声をかけたり、何度も振り返ったりすると犬が不安になります。
「飼い主が特別なことをしている=大変なことが起きる」と感じてしまうんです。
さりげなく出て、帰ってきたら落ち着いてから声をかけるくらいがちょうどいいです。
留守番中に夢中になれるものを用意してあげるのも手です。
コングにペーストを詰めて凍らせておくと、犬が舐めながら少しずつ溶かして食べるので長い時間楽しめます。うちでもよく使っています。
コング レッド S サイズ 犬用おもちゃ KONG
¥851〜
コングの中に詰めるペーストは専用のものがあると手軽です。
ただ正直、最初は中身をうまく取り出せなくて興味を示さない子もいるので、まずは取り出しやすい柔らかめのペーストから試すのがおすすめです。
コング チューブペースト ヨーグルト味 140g 犬いぬイヌ おやつ しつけ トレーニング
¥612〜
留守番中に吠えが何時間も続く場合や、家具を壊す・自分の体を傷つけるなどの行動がある場合は、分離不安(離れることへの強い不安)の可能性があります。
次のセクションの「プロに相談すべきサイン」もあわせて読んでみてください。
飼い主がやりがちな逆効果パターン
吠えを減らしたくてやっていることが、実は逆効果になっていることがあります。
- 大声で「静かに!」と叱る → 犬は「飼い主も一緒に吠えている」と受け取る
- 吠えたらおやつで気をそらす → 「吠えたらおやつがもらえる」と学習してしまう
- 吠える状況を完全に避ける → 刺激への耐性がつかず、たまに遭遇したときに余計に吠える
特に「大声で叱る」は、飼い主としてはつい出てしまう反応でしょう。
でも犬にとっては「飼い主も興奮している」「一緒に警戒してくれている」と映ってしまうんです。
叱る代わりに、吠えていない瞬間を見つけて褒める。
これだけで少しずつ変化が出てきます。
改善しないときの判断基準と相談先
ここまで紹介した方法を試しても改善しない場合は、環境の見直しとプロへの相談を検討してみましょう。
環境の見直しチェックリスト
吠えが増える原因として、運動不足や刺激不足が隠れていることがあります。
- 散歩は1回20〜30分を1日2回できている
- 嗅覚や頭を使う遊びを取り入れている
- 犬がひとりで落ち着ける場所(クレートやベッド)がある
- 外の刺激が入りすぎない環境になっている(窓の位置など)
- 家族全員が同じルールで対応できている
「家族で対応がバラバラ」は見落としやすい落とし穴。お父さんは無視するのにお母さんはおやつをあげる状態だと、犬も混乱します
プロに相談すべきサイン
以下のサインがある場合は、動物病院やしつけの専門家(行動診療科)への相談をおすすめします
- 家族に対して噛みつきなどの攻撃的な行動がある
- トイレ以外での排泄が繰り返し起きている
- 過度に体を舐めたり掻いたりして、ハゲや傷ができている
- 雷や花火などへの恐怖反応が極端に強い
こうしたサインがある場合は、しつけの問題ではなく不安障害などが関係している可能性があります。
行動診療科を設けている動物病院もあります。
犬の行動を専門に診る科なので、かかりつけの獣医さんに聞いてみてください。
吠え癖は「すぐに治る」ものではありません。
でも、愛犬が何を伝えたいのかを理解しようとする姿勢が、結果としていちばんの近道になります。
まずは今日、愛犬が吠えた瞬間に「何に反応したのか」を1回だけメモしてみてください。それが最初の一歩です。
- 吠え癖のしつけは何歳からでも間に合いますか?
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年齢に関係なく取り組めます。子犬のほうが習得は早い傾向がありますが、成犬やシニア犬でも「吠えなくてよかった」という経験を積み重ねることで改善が見込めます。ただし、長年の習慣を変えるには数週間〜数か月かかることもあるので、焦らず続けることが大切です。
- 留守番中の吠えがひどく、近隣から苦情が来ました。すぐにできる対策はありますか?
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まずは留守番中の環境を整えましょう。クレートやサークルで落ち着ける空間を作り、コングなどの知育玩具を与えて退屈を減らすのが即効性のある方法です。それでも改善しない場合は分離不安の可能性があるため、かかりつけの動物病院に相談してみてください。
- インターホンの練習はどのくらいの期間で成果が出ますか?
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個体差がありますが、毎日少しずつ続けていると、数週間で変化が見られるケースもあります。うちのちくわの場合は1年かけて「吠えてもすぐ止まる」レベルまで改善しました。完全にゼロにするのではなく、「短く吠えて終わる」を目標にすると取り組みやすくなります。




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