留守番から帰ると、トイレシートがまっさら。おしっこの跡がひとつもない。
最初は「トイレの失敗がないな」くらいに思っていました。でもそれは、我慢していたから。うちのちくわ(ポメラニアン)は人がいないとトイレができないタイプで、限界を超えた結果、血尿が出て膀胱炎になりました。
分離不安は「吠えて暴れる」だけじゃありません。静かに体を壊すパターンもある。そんなちくわと5年間暮らしてきた中で、実際に試して効果があったことと、あまり意味がなかったことをまとめました。
分離不安の正体は「不安」ではなく「パニック」に近い

分離不安というと「ちょっと寂しがり」くらいのイメージを持つかもしれません。でも実際に見ていると、あれは不安というよりパニックに近い反応。飼い主がいなくなった瞬間に、脳が「危険だ」と信号を出しているような状態です。
出方はざっくり3つ。
吠える——飼い主が出ていった直後から鳴き続ける。
壊す——ドアやケージを噛む、クッションを引き裂く。うちの犬も実家の壁を掘ったことがあります。
体に出る——おなかを壊す、吐く、トイレの我慢。目に見えにくいぶん、気づくのが遅れがち。
体に出るパターンは「おとなしくしている」ように見えるため見過ごしやすい
3つ目は吠えたり壊したりしないぶん、飼い主が気づかないまま悪化することも。うちもまさにこれでした。
うちのちくわの場合——吠えより先に「体」に出た
この子は赤ちゃんの頃から、ずっと誰かがそばにいる環境で育ちました。実家では家族が日中ずっと一緒にいてくれて、人がいない時間がほぼなかった。そのまま成長したので、「人がいない」という状況自体に慣れていません。
2人暮らしを始めてからも、留守番中にトイレを一切しないことに気づきました。何時間でも我慢してしまう。最初はそこまで深刻に考えていなかったのですが、ある日おしっこにピンク色の血が混じっていて、病院に駆け込みました。
診断は膀胱炎。トイレを長時間我慢し続けると、膀胱内で細菌が増えて炎症を起こすリスクがあるとのこと。
「治す」と「付き合う」は違う——現実的なゴールの決め方

「分離不安を治しましょう」と書いてある記事は多いけれど、完全に克服するのはかなり難しい。少なくとも、うちの場合は5年経った今でもゼロにはなっていません。
だから私たちが決めたゴールは2つだけ。
- 体を壊さないこと(膀胱炎の再発を防ぐ)
- 物を壊さないこと(実家の壁を掘って穴を開けたことがある)
このラインさえクリアできていれば、多少ソワソワしても「まあ大丈夫」と思えるように。
膀胱炎がわかった時点で、夫は在宅勤務で仕事ができるように転職しました。全員にすすめられる選択肢ではないけれど、「生活を変える」という判断が必要なケースもあるのは事実です。
「完全に治す」ではなく「体に支障が出ない・物を壊されない」を最低ラインにすると、飼い主の気持ちもだいぶ楽になります
転職してからは在宅の時間が増えて膀胱炎は再発なし。ただ、別の問題が出てきました。夫がトイレに行くだけでもついてくるように。人が常にいる環境に慣れすぎて、少しの分離も気になるようになりました。
分離不安は「解決した」と思っても形を変えて出てくるもの。だからこそ「付き合う」という感覚のほうが、長い目で見ると現実的です。
外出のサインを消す——犬は音と動きで「察する」
ちくわは耳がいいのもあって、外出の気配にものすごく敏感。
- 鍵をジャラッと持つ音
- 外出用の服に着替える動作
- ゴミ袋をキュッと縛る音
このどれかひとつでも始まると、玄関に先回りして吠え始めます。
ちくわくぅん…! くぅん…!
ただ、全部のサインを消そうとしなくて大丈夫。鍵は音が出ないようポケットに入れておく、着替えは別の部屋でする、くらいの工夫で十分です。完璧を目指すと飼い主のほうが疲れてしまう。
やめてよかったこと・意味がなかったこと
以前は「行ってくるね、すぐ帰るからね」と毎回声をかけてから出ていました。犬のためだと思っていたのですが、よく考えると自分たちの罪悪感を減らすための行為だったんです。
声をかけると犬のテンションが一気に変わって、余計に落ち着かなくなる。「行ってくるね」の声色や表情から「あ、いなくなる」と学習してしまっていたんだと思います。
今はサッと準備してサッと出る方式に。声もかけないし、目も合わせません。冷たいようですが、結果的に犬の反応は以前よりだいぶ落ち着いています。「外出前後の温度差をなくす」のは、複数の行動学の情報でも推奨されている考え方。
留守番中の「やることがある」を作る——おやつの使い方がカギ
分離不安の犬にとって、もっともキツいのは飼い主が出ていった直後。不安のピークは最初の15〜30分とされていて、この時間帯をどう乗り越えるかがカギになります。
私たちが実際にやっているのは、外出する直前にかみかみガムを渡すこと。ちくわが夢中でガムを噛んでいる間にサッと出る。これを繰り返すことで、「人がいなくなる=おいしいものがもらえる」という条件付けができてきました。
外出直前におやつを渡す → 「外出=いいこと」の結びつきが少しずつできていきます
最初から効果があったわけではないけれど、2〜3週間ほど続けたあたりから変化が。鍵の音がしてもガムのほうをチラッと見るようになりました。
ガムは長く噛めるタイプを選んでください。5分で食べ終わるものだと、食べ終わった後に「あれ、いない」となって意味が薄れてしまう。
アイリスオーヤマ 骨型ガム ミルク味 Sサイズ 40本
¥2,680〜
歯のケアにもなるので、毎日のおやつとしても一石二鳥。
おやつだけで分離不安は解消しない
ひとつ大事なのは、おやつだけで分離不安がなくなるわけではないということ。あくまで「最初の不安ピークをやりすごす助け」くらいの位置づけで考えてください。
おやつの種類も、同じものを毎日だと飽きてきます。2〜3種類をローテーションすると新鮮さが保てるので試してみてください。
ペットカメラは「監視」ではなく「飼い主の不安を減らす道具」
ペットカメラを導入したきっかけは、犬のためではなく自分たちが不安だったから。
「今ごろ吠えてるかな」「また体調崩してないかな」と外出先でずっと気になっていて。スマホで様子が見られるようになってから、ひとつ大きな発見がありました。
ちくわは最初の30分くらいソワソワした後、不貞腐れたように寝ている。


物を壊すこともなく、トイレの失敗もなく、ただ「まあ帰ってくるでしょ」という顔で丸まっている。これが分かっただけで、外出中の心配が激減。
飼い主の不安が減ると、出かけるときの態度にも余裕が出ます。「大丈夫かな…」とオドオドしながら出ると、犬はその緊張を感じ取る。逆に「じゃ、行くか」とさらっと出られるようになると、犬の反応もマイルドに。
みてるちゃん ペットカメラ(自動追跡・双方向音声・ナイトビジョン)
¥2,980〜
ナイトモード付きなので、夜の留守番でも白黒映像で確認できるのが助かります。声かけ機能もありますが、ちくわの場合は声が聞こえると逆に落ち着かなくなるので使っていません。犬によって合う・合わないがはっきり分かれるので、最初はオフにしておくのが無難。
それでも不安が強いなら——獣医に相談する判断基準
ここまで書いてきた対策は、あくまで「軽度〜中度」の分離不安向け。以下のような症状がある場合は、獣医への相談をおすすめします。
- 自分の体を噛む、足を舐め続けるなどの自傷行為がある
- 何時間も吠え続けて近隣トラブルになっている
- 吐き戻しや下痢が頻繁に起きる、体重が減っている
犬の問題行動を専門に扱う診療科(行動診療科)がある病院なら、投薬と行動療法を組み合わせて対応してもらえます。
Adaptil(アダプティル)という犬用フェロモン製品も選択肢のひとつ。ただし成犬への効果は個体差が大きく、「これで解決」とは思わないほうがいいです。
分離不安は飼い主が自分を責めやすい問題。「しつけが悪かったのかな」「もっと小さいうちに慣らすべきだった」と考えがちですが、生まれ持った気質や育った環境の影響も大きい。



100点の対策じゃなくて、「うちの子に支障が出ないライン」を見つけるのがいちばん大事だったなって思います
「完璧に治す」ではなく「この子と無理なく暮らせるやり方を見つける」。5年かけて私たちがたどり着いたのは、そういうスタンスでした。
- 犬の分離不安は何歳からでも改善できますか?
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年齢に関係なく、環境や対応を変えることで行動が落ち着くケースは多いです。ただし子犬の頃より時間がかかることも。改善が見られないときは、行動診療科のある動物病院への相談がおすすめです。
- 留守番は最長何時間まで大丈夫ですか?
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成犬の場合、一般的には6〜8時間が目安。ただし分離不安がある犬はもっと短い時間でもストレスが溜まることがあります。うちの場合は6時間が上限で、それ以上の日は預け先を確保しておく形です。
- ペットカメラの声かけ機能は使ったほうがいいですか?
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犬によります。飼い主の声で安心する子もいれば、「声は聞こえるのに姿が見えない」ことで逆に興奮する子も。最初はオフにして様子を見て、カメラ越しの反応を確認してから判断するのがおすすめです。






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