夏が近づくと、トリミングサロンで「サマーカットにしますか?」と聞かれる飼い主さんは多いはずです。
涼しそうだし、見た目もスッキリする。でも犬種によっては、カットしたことを後悔するケースが少なくありません。
大事なのは「やるかやらないか」ではなく、自分の犬に合っているかどうかの判断です。
サマーカット後に「毛質が変わった」という後悔がある
サマーカットとは、犬の被毛を通常より短くカットするスタイルの総称です。
いぬのきもちWEB MAGAZINEのアンケートでは、サマーカット経験のある飼い主さんは約半数という結果が出ています。
ただ、カット後に「毛質が変わってしまった」という声はかなり多いです。
もともとフワフワだった毛がゴワゴワになったり、色味が変わったりするケースがあります。
特に知っておきたいのが「毛刈り後脱毛症(バリカン後脱毛症)」です。
バリカンでカットした部分の毛の生え変わりサイクルが止まり、毛が生えてこなくなることがあります。
原因はまだはっきりわかっておらず、皮膚表面の温度変化が原因のひとつと考えられていますが、はっきりとはわかっていません。
ポメラニアンは毛刈り後脱毛症の好発犬種。回復まで1〜2年かかることもあり、確立された治療法はありません
一般的には3〜4か月で再生しますが、ダブルコートの長毛犬種では1〜2年かかるケースもあります。
気軽に「涼しそうだから」で決められる話ではないんです。
日焼けや虫刺されのリスクも高まりますし、白い毛色の子は紫外線ダメージを受けやすいので要注意です。
サマーカットが向いている犬と向いていない犬

「じゃあサマーカットは全部ダメなの?」というと、そうではありません。
被毛の構造がシングルコートかダブルコートかで、判断が大きく変わります。
犬の被毛には2つのタイプがあります。
シングルコートは毛が1層だけの構造で、定期的なカットが前提の犬種です。
ダブルコートは外側の毛(外部の刺激から守る層)と内側の毛(断熱材の役割をする層)の2層構造になっています。
| 被毛タイプ | サマーカット | 代表的な犬種 |
|---|---|---|
| シングルコート(トリミング犬種) | 向いている | トイプードル、マルチーズ、ヨークシャーテリア、シーズー |
| ダブルコート(グルーミング犬種) | 避けるべき | ポメラニアン、チワワ(ロング)、ダックス(ロング)、柴犬、コーギー |
シングルコートの犬種は、もともと毛が伸び続ける構造なのでカットしても問題ありません。
むしろ夏場は短くした方が快適に過ごせます。
なおシーズーやミニチュアシュナウザーはダブルコートですが、毛が伸び続けるトリミング犬種でもあります。
サマーカットは可能ですが、短くしすぎると毛質が変わるリスクがあるので長めに残すのが無難です。
一方、ダブルコートの犬種は毛を短くしすぎると断熱機能を失います。
被毛は断熱材として働いていて、外からの熱を遮る役割があるんです。
人間の衣服にも断熱効果があるように、犬の被毛も外からの熱を遮る断熱材として機能しています。
カットしたら逆に暑くなる可能性があるのは、ここが理由です。
ミックス犬の場合は見た目だけでは被毛タイプがわかりにくいので、トリマーさんか獣医さんに確認してもらうのが確実です。
サマーカットしなくても涼しく過ごす方法
ダブルコートの子はカットしない方がいい。でも暑い夏をどう乗り切るのか。
カットに頼らない具体的な暑さ対策を3つ紹介します。
アンダーコートの除去がいちばん大事
ダブルコートの犬種にとって、いちばん効果的な暑さ対策はブラッシングでアンダーコートをしっかり取り除くことです。
冬の間に溜まった内側の毛(アンダーコート)を除去すると、被毛の間に空気が通りやすくなります。
断熱機能は残したまま、通気性のいい夏毛の状態に近づけるイメージです。
換毛期には毎日のブラッシングが理想です。
スリッカーブラシで全体を梳かしたあと、コームで仕上げると抜け残りを防げます。
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毛を「切る」のではなく「抜く(除去する)」のがダブルコートの正しい夏支度です
クールグッズの選び方(首・体幹・足元)
クールグッズはだいたい2つのタイプに分けられます。
気化熱タイプは水で濡らして使うもので、軽くて小型犬に負担が少ないのが特徴です。
散歩のときにサッと着せられるので使い勝手もいいですが、湿度が高い日は効果が落ちます。
保冷剤タイプは持続時間が3〜5時間と長めです。
ただし重さがあるので、体重3kg以下の超小型犬には負担になることもあります。
首元を冷やすバンダナ型、体幹を覆うベスト型、足元にはクールマットと、場面に合わせて使い分けるのがおすすめです。
室内用の冷感マットはアルミタイプやジェルタイプがありますが、噛み癖のある子にはジェルタイプは避けてください。
散歩用には接触冷感素材のウェアも選択肢になります。水で濡らさなくても着るだけでひんやりするタイプなら手軽ですし、UVカット機能つきなら紫外線対策も兼ねられます。
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散歩の時間帯を見直す
暑さ対策で見落としがちなのが散歩の時間帯です。
気温32度のとき、日なたのアスファルトは55〜65度まで上がります。
マンホールの表面は62〜65度以上。肉球は50度で炎症を起こし、55度以上では1分以内にやけどするリスクがあります。
ちくわくんくん…アスファルト、あちち!
朝7時・気温26度の時点でもアスファルトの日なたは43.8度あるので、油断できません。
夏場の散歩は早朝5時台か、日没後の21時以降が安全です。
日陰なら25.4度、芝生なら38.4度と大きく温度が下がるので、ルートの工夫も効果的です。
室内の快適温度は21〜25度、湿度50〜60%。エアコンのつけっぱなしは犬のためにも必要な投資です
それでもサマーカットするなら守りたい3つのこと
ここまでダブルコートのリスクを書いてきました。
ただ、皮膚疾患の治療やどうしても毛玉がほどけないなど、カットが必要な場面もあります。
その場合に最低限守りたいポイントをまとめます。
サマーカットする場合の3つの鉄則:最低1cm残す、紫外線対策をする、カット後の経過を観察する
1つ目は、最低1cm(10mm)は残すこと。
地肌が見えるほど短くすると、紫外線や虫刺されのダメージが直接肌に届きます。
初めてのサマーカットなら8〜13mmが無難です。
トリマーさんに写真を見せて「この長さで」と指定するのがいちばん伝わります。
2つ目は、紫外線対策。
カット後は被毛のバリアが薄くなるので、日差しが強い時間帯の外出は避けてください。
特に白い毛色の子は日焼けしやすいので要注意です。
3つ目は、カット後の経過観察。
毛質の変化や皮膚の赤みが出ていないか、2〜3週間は注意して見てあげてください。
歩きたがらない、元気がないなどの行動の変化にも要注意です。
異変を感じたら早めに獣医さんに相談するのが安心です。
なお、バリカンではなくハサミでカットするとリスクが下がるという見方もあります。
トリマーさんに相談して、ハサミ仕上げが可能か聞いてみるのもひとつの方法です。
うちのちくわはカットしない派に落ち着いた
うちのちくわはポメラニアンで、典型的なダブルコートです。
正直、夏になるたびに「涼しそうだしカットしようかな」と考えたこともありました。
でもバリカン後脱毛症のリスクを知ってからは、怖くて踏み切れませんでした。
ポメラニアンは好発犬種ですし、万が一毛が生えてこなくなったら1〜2年も待つことになります。
今は換毛期に毎日ブラッシングして、散歩のときは冷感ウェアを着せるスタイルに落ち着いています。
それでちくわが暑そうにしている場面は、ほとんどありません。
サマーカットが悪いわけではなく、犬種と被毛タイプに合った選択をすることがいちばん大事です。
トリミングサロンで「サマーカットどうしますか?」と聞かれたとき。
まず自分の犬がシングルコートかダブルコートかを確認してから答える。それだけで後悔する確率はぐっと下がるはずです。
- サマーカットは何ミリ残せば安全ですか?
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最低でも10mm(1cm)は残すのが目安です。初回は8〜13mmから始めて、地肌が見えない長さを維持してください。バリカンよりハサミ仕上げの方がリスクが低いとも言われています。
- ダブルコートの犬にサマーカットすると毛が生えてこないって本当ですか?
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毛刈り後脱毛症(バリカン後脱毛症)という症状があり、特にポメラニアンに多く報告されています。短毛種で約4か月、長毛犬種では1〜2年かかることもあり、確立された治療法はまだありません。すべての犬に起こるわけではありませんが、リスクがあることは知っておいた方がいいです。










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